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マルチエフェクターの選び方|選ぶ前に決めること

マルチエフェクターは、1台に多数のエフェクトを収めた機材です。種類が多いぶん、何を基準に選べばよいか分かりにくく、買ってから「思っていた使い方と違った」となる例もあります。

この記事では、選ぶ前に決めておきたいことを順に整理します。単体ペダルとの違いは エフェクターの選び方|種類・役割・接続順の基本 にも書いています。

この記事の要点

  • マルチの利点は「多機能」「設定の保存と一括切り替え」「1台で完結」、弱点は「操作が複雑になりやすい」「内蔵の範囲に限られる」
  • 操作は、つまみ中心か画面中心かで使い勝手が大きく変わる
  • アンプシミュレーターやヘッドホン出力、オーディオインターフェース機能は製品ごとに有無が違う
  • 自宅向きか、ライブ向きかで、見るべき項目が変わる

マルチエフェクターの利点と弱点

項目 利点 弱点
機能 歪み、空間系、モジュレーションなどを1台で試せる 内蔵のエフェクトの質や種類は製品で決まる
設定 音色を保存し、曲ごとに一括で切り替えられる製品が多い 最初の設定作りに時間がかかる
設置 1台で済み、ケーブルや電源がまとまる 故障すると、すべての音が出なくなる
拡張性 マルチ内の機能を組み替えて使える 特定の1台だけを入れ替える、といった柔軟さは低い

操作性を確認する

マルチは、操作方法で使いやすさが大きく変わります。

つまみ中心のタイプ

単体のペダルのように、つまみを回して音を作れるタイプです。音の変化を目で見て触って把握しやすく、初めての人にも向きます。ただし、1台に載せられるつまみの数に限りがあり、細かい設定には画面や別の操作が必要になる場合があります。

画面中心のタイプ

画面とボタンで設定を行うタイプです。細かい調整や多数の組み合わせに対応しやすい一方、画面を見ながらの操作になるため、慣れるまで時間がかかる場合があります。製品によっては、パソコンやスマートフォンのアプリから設定できる場合もあります。

フットスイッチの数

ライブで音色を切り替えるなら、足で踏めるスイッチの数と配置が重要です。数が少ないと、1回の操作でできる切り替えが限られます。

アンプシミュレーターの有無

アンプシミュレーターは、アンプやキャビネットの音を再現する機能です。これがあると、アンプにつながなくても、ヘッドホンやミキサーに直接つないで、アンプを鳴らしたような音で演奏できます。製品によって、再現できるアンプの種類や数は異なります。

すでにアンプを使っていて、そのアンプで音を出す場合は、アンプシミュレーターを使わず、エフェクトだけを使うこともできます。その場合も、アンプの歪みと合わせて設定を調整する必要があります。

ヘッドホン出力とオーディオインターフェース機能

自宅練習が中心なら、次の機能が役に立ちます。

  • ヘッドホン出力: 夜間などに小さな音量で演奏しやすい。
  • オーディオインターフェース機能: パソコンにUSBなどで接続し、録音や再生ができる。対応の有無と仕様は製品ごとに異なる。
  • 外部音源の入力: スマートフォンやオーディオプレーヤーなどの曲を流しながら演奏できる製品がある。

ヘッドホンで大きな音量を長く聞くと、聴覚に負担がかかります。音量は控えめにして、休憩を挟みながら使ってください。

ライブ向きか、自宅向きか

用途 重視したい点
自宅練習 ヘッドホン出力、音色の保存数、録音機能、小型・軽量
バンド練習 起動の速さ、音量調整のしやすさ、切り替えの確実さ
ライブ フットスイッチの数と配置、頑丈さ、出力端子、電源方式

1台で自宅も、ライブもこなす製品もありますが、得意な用途は製品ごとに異なります。優先する使い方を先に決めると、絞りやすくなります。

単体ペダルとの併用

マルチと単体ペダルを併用する方法もあります。たとえば、歪みだけ気に入ったペダルを使い、そのほかをマルチに任せる、といった使い方です。つなぐ位置には考え方がいくつかあり、マルチの前に置く、マルチの後に置く、マルチの内部のループ機能を使う、などの選択肢があります。ペダルをつなぐ順番の考え方は 空間系エフェクターの選び方|ディレイ・リバーブ・コーラスなど と エフェクターの接続順の基本|つなぐ順番で音が変わる理由 にも関わるので、あわせて確認してください。

併用するときは、各機器の入出力レベルや、電源の電圧・極性を、取扱説明書で確認してください。

選ぶ前に決めること

  1. 主な使い方(自宅、バンド練習、ライブ)
  2. 楽器の種類(ギター、ベース、アコースティックなど。対応の有無は製品ごとに異なる)
  3. アンプにつなぐか、ヘッドホンやミキサーに直接つなぐか
  4. つまみ式か画面式か
  5. 必要なフットスイッチの数
  6. 録音機能やオーディオインターフェース機能が必要か
  7. ボードに載せる場合のサイズ

台数が増えたときの置き方や電源の考え方は エフェクターボードの組み方|電源・ケース・ラインセレクターの選び方 で整理しています。

最初の設定作りの進め方

マルチは音色を作る自由度が高いぶん、最初に何から手を付けるか迷いがちです。次の順に進めると整理しやすくなります。

  1. 最初から入っている音色(プリセット)を順に鳴らし、好みに近いものを探す
  2. 近い音色を選び、歪みの量と音量だけを調整する
  3. 空間系(ディレイ、リバーブ)の量を、少なめから足す
  4. 気に入った状態を、別の番号に保存する(元の音色を残しておくため)
  5. 弾くジャンルや曲ごとに、使う音色を決めておく

いきなりすべてのつまみを動かすと、何が効いているのか分からなくなります。まず1つの要素ずつ動かして、変化を聴き取る習慣を付けると、自分で音を作れるようになります。

音色の数を増やしすぎない

保存できる数が多いと、つい音色を増やしがちです。しかし、ライブや合わせで使う音色は、実際には数種類に絞られる場合が多いです。クリーン、軽い歪み、深い歪み、ソロ用、といった少数の音色を使いこなすほうが、現場では扱いやすくなります。

ソフトウェアやアプリでの編集

製品によっては、パソコンやスマートフォンの専用アプリで、音色の編集や管理ができます。画面が大きいため、細かい設定が見やすく、保存した音色のバックアップを取れる場合もあります。対応するOSや接続方式は製品ごとに異なるため、購入前に販売ページや取扱説明書で確認してください。

アプリを使うことが前提の製品では、本体だけの操作で足りるのかも確認すると、使い始めてからの戸惑いが減ります。

電源とケーブルの確認

マルチは消費電流が大きい製品が多く、電池では短時間しか使えない場合があります。多くはACアダプターでの給電が前提です。電圧・極性・必要な電流は製品ごとに異なります。必ず取扱説明書で確認し、指定されたアダプターを使ってください。ほかのペダルと同じパワーサプライにつなぐ場合も、電流容量が足りるかを確認します。

入出力の端子も確認しましょう。標準の1/4インチのジャックだけでなく、ステレオ出力、アンプのセンド/リターンに対応した端子、USB端子、ヘッドホン端子など、製品ごとに構成が違います。自分の使い方に必要な端子がそろっているかを、先に見ておきます。

こんな人にはこちら

こんな人 向きやすい選び方
初めてエフェクターを買う つまみ中心で、直感的に操作できるタイプ
自宅で夜に練習する ヘッドホン出力があり、アンプシミュレーターを備えたタイプ
録音もしたい オーディオインターフェース機能を備えたタイプ
ライブで曲ごとに切り替えたい フットスイッチが多く、音色の保存数が多いタイプ
好きなペダルがある ペダルと併用できるループ機能のあるタイプ

どれか1つに決められない場合は、使う頻度が高い場面を優先してください。ごくまれにしか使わない機能のために、操作が複雑な製品を選ぶと、普段の使い勝手が下がることがあります。

買ったあとに困りやすい点

  • 機能が多く、必要な設定にたどり着けない。使う機能だけを書き出しておくと、迷いにくい
  • 音量の差が、プリセットごとに大きい。音色を保存するときに、音量をそろえておく
  • アンプにつなぐと、イメージと違う音になる。アンプ側のイコライザーを控えめにして確認する
  • ソフトウェアの更新やバックアップのやり方が分からない。取扱説明書で確認しておく

マルチは、買ってすぐに完璧な音が出るとは限りません。時間をかけて少しずつ調整していく機材、と捉えるのが現実的です。

まとめ

  • マルチは多機能で一括切り替えがしやすいが、操作や拡張性に制約がある
  • つまみ式と画面式で、使い勝手が大きく変わる
  • アンプシミュレーター、ヘッドホン出力、オーディオインターフェース機能の有無は製品ごとに違う
  • 自宅向きか、ライブ向きかを先に決める
  • 電源の電圧・極性は、取扱説明書で必ず確認する

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