エフェクターの仕様には「トゥルーバイパス」や「バッファードバイパス」という表記があります。どちらが良いのか気になる人も多いですが、一方が常に優れているわけではありません。この記事では、2つの仕組みの違いと、選ぶときに確認したい点を整理します。
結論
トゥルーバイパスは、オフのときにエフェクターの回路を通らず、ギターの音をそのまま通す方式です。バッファードバイパスは、オフのときも内部の回路(バッファ)を通す方式です。どちらが優れているとは言えず、ケーブルの長さ、ペダルの台数、好みの音で選びます。台数が少ない構成なら、気にしすぎなくてよい場合が多いです。
この記事の要点
- 違いはオフのときの信号の通り方で、音の良し悪しを決めるものではない
- ケーブルが長い、ペダルが多いときに、高い音が弱くなることがあると言われる
- 電源が無いときの音の通り方は方式で異なる(機種により異なるので取扱説明書で確認)
- 2つを混在させる人も多く、置く位置を考えるのがひとつの目安
2つの違いを表で比べる
基準ごとに並べます。ここでの内容は一般論で、機種によって異なります。
| 基準 | トゥルーバイパス | バッファードバイパス |
|---|---|---|
| オフのときの信号 | 回路を通らず、ほぼそのまま通る | バッファの回路を通る |
| ケーブルが長いとき | ペダルを通さない間は、ケーブルの影響をそのまま受ける | バッファが信号を整え、影響を抑えやすい |
| 音色の変化 | オフでは変化が少ない | バッファの特性で、わずかに音が変わる場合がある |
| 電源が無いときのオフの音 | 機械式スイッチの場合、電源が無くても音が通る | 電子式の切り替えを含め、電源が無いと音が出ない機種が多い |
| 向く場面 | 台数が少ない構成、ペダル本来の音を大事にしたいとき | ケーブルが長い、台数が多い構成 |
トゥルーバイパス
- オフのときは、回路を通らない構造
- 台数が少なければ、音の変化を意識しにくい
- ペダルが多くケーブルも長いと、高い音が弱くなる場合がある
- 切り替え時にノイズが出る機種もある
バッファードバイパス
- オフでも信号を整えるため、長いケーブルに強い傾向がある
- 台数が多い構成で、音が安定しやすい
- バッファの特性が音に影響する場合がある
- 電源が必要で、電源が無いと音が出ない機種が多い
なお、表の「電源」についてよくある誤解があります。トゥルーバイパスのペダルでも、電池やアダプターをつないでいれば、オフのときも内部の回路には通電しています。「オフでは電源を使わない」わけではなく、違いは電源が無いときに信号が通るかどうかという点です。機種ごとに設計は異なるため、取扱説明書で確認してください。
バッファとは何か、ペダルが多いと何が起こるか
ギターのピックアップから出る信号は、インピーダンス(電気の流れにくさの目安)が高く、長いケーブルを通ると、特に高い音が弱くなりやすいと言われます。バッファは、信号のインピーダンスを下げて、ケーブルの影響を受けにくくする回路です。この回路を、エフェクトのオン・オフにかかわらず常に通すのがバッファードバイパスです。
トゥルーバイパスのペダルを何台も直列につなぐと、オフのときも、ケーブルの総延長が長くなります。その結果、一般には高い音が弱くなり、こもった印象になることがあると言われます。バッファードバイパスを途中に入れると、この影響を抑えやすくなります。
ただし、実際の影響はケーブルの種類、長さ、ギターのピックアップの種類、アンプによって変わります。数字で一律に決められるものではなく、こもりが気になったときに見直す点のひとつと考えてください。
方式の調べ方と電源の確認
販売ページには、バイパスの方式が「トゥルーバイパス」「バッファードバイパス」と書かれていることがあります。ただし、書かれていない製品もあり、表記の意味が製品ごとに少しずつ違う場合もあります。書かれていないときは、取扱説明書や製造元の説明で確認するのが確実です。
また、電子的なスイッチでオン・オフを切り替える方式の製品もあります。この場合、オフのときの信号の通り方は機種の設計によって異なるため、方式の名前だけで判断せず、仕様の説明を読んでください。電池を使うかアダプターを使うか、電源が無いときにどうなるかも、あわせて確認しておくと、本番で音が出ないという失敗を避けやすくなります。
注意
電源が必要な機器の電圧と極性(プラスとマイナスの向き)は、機種ごとに異なります。電源をつなぐ前に、必ず取扱説明書で確認してください。
混在させる場合の考え方
2つの方式のペダルを混在させる人は多くいます。一般的な考え方として、バッファードバイパスのペダルをギターに近い位置に置くと、後ろの信号が整いやすいと言われます。一方で、ファズなど入力のインピーダンスに音が左右されやすい種類のペダルは、ギターの直後に置く構成を好む人もいます。
ペダルの種類によって、向いている置き方は異なります。仕様や取扱説明書に、バイパスの方式や、つなぐ位置の注意が書かれていないか確認してください。接続順の基本はエフェクターの接続順の基本|つなぐ順番で音が変わる理由で整理しています。
ポイント
順番を入れ替えたら、同じフレーズを弾き比べて、音の変化を確認しましょう。1回に変えるのは1か所だけにすると、何が原因で音が変わったのかが分かります。
こもりやノイズを感じたときの見直し方
トゥルーバイパスのペダルでは、スイッチを踏んだときに「ポツッ」というノイズが出る機種があります。これは回路の構造や、信号に重なる微小な電圧などが関係すると言われ、機種によって出方が違います。対策が施された製品もあります。ノイズが気になる場合は、切り替えノイズへの対策が施された製品を選ぶ、機種の仕様を確認する、販売元やリペアに相談する、といった方法があります。
こもりが気になるときは、ペダルを買い替える前に、ケーブルを見直す方法があります。ギターからペダル、ペダルからアンプまでの総延長を短くする、ペダル同士をつなぐ短いケーブルを使う、といった工夫です。使っていないペダルを外すだけでも、信号の通る経路は短くなります。ケーブルの種類によって音への影響の出方は変わりますが、感じ方には個人差があります。
どんな人にどちらが向くか、選ぶときの確認点
- トゥルーバイパスが向きやすい人:ペダルが目安として数台までで、ケーブルも短い構成の人。オフのときの音の変化を最小限にしたい場合に選ばれやすい方式です。
- バッファードバイパスが向きやすい人:ペダルを多数つなぐ人、ステージで長いケーブルを使う人。信号を整えたい場合に選ばれやすい方式です。
- どちらでも大きな差を感じにくい人:自宅で短いケーブルを使い、ペダルも少ない場合。方式の違いより、音色や操作性を優先して選んで構いません。
- つなぐ台数を数える
今のペダルの台数と、これから増やす予定の台数を考えます。 - ケーブルの長さを確認する
ギターからアンプまでの総延長を、おおよそ把握します。 - 仕様の表記を見る
販売ページや取扱説明書で、バイパスの方式が書かれているかを確認します。 - こもりを感じたら見直す
オフのときに高い音が弱いと感じたら、ケーブルの短縮やバッファの追加を検討します。
ライブやスタジオの前には、すべてのペダルをオフにした状態で、ギターから直接アンプにつないだ音と、ペダルボードを通した音を弾き比べておくと安心です。音量や高域の感じ方が大きく違う場合は、ケーブルの交換や、ペダルの構成の見直しを検討する材料になります。電池駆動のペダルは、残量の低下で音が変わることもあるため、予備の電池を用意しておく人もいます。
「トゥルーバイパスなら必ず音が良い」「バッファが入ると必ず音が悪くなる」のどちらも、一概には言えません。表記だけで音の良し悪しは決まらず、回路の設計や構成によって異なります。
よくある疑問
トゥルーバイパスとバッファードバイパスは混ぜても大丈夫ですか?
混在させても問題なく使えることが多いです。置く位置や、ペダルの種類による相性があるため、音を確認しながら調整してください。
どちらが音が良いのですか?
一方が常に良いとは言えません。台数、ケーブルの長さ、好みの音によって向く方式が変わります。
電池やアダプターが無いとき、ペダルを通した音は出ますか?
機種により異なります。機械式スイッチのトゥルーバイパスはオフのとき音が通る構造が一般的です。バッファードバイパスや電子式の切り替えは、電源が無いと音が出ない機種が多いです。取扱説明書で確認してください。
ケーブルを短くすれば、バッファは不要ですか?
台数が少なく、ケーブルも短い場合は、影響を意識しない人もいます。ただし、感じ方は構成によって異なるため、こもりを感じたら見直してください。
ペダルを1台だけ使う場合も、方式を気にする必要はありますか?
1台だけで、ケーブルも長くない場合は、方式の違いを意識しない人が多いです。気にするより、音色・操作性・電源の条件を優先して選ぶ考え方もあります。
まとめ
- 違いはオフのときの信号の通り方で、どちらが優れているとは言えない
- ペダルが多い・ケーブルが長いときは、高い音が弱くなる場合がある
- 電源が無いときの動作は方式や機種で異なるため、取扱説明書で確認する
- 混在は可能で、置く位置を考えるのがひとつの目安
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