エレキギターを選ぶとき、ピックアップ(弦の振動を電気信号に変える部品)の種類が気になる人は多いはずです。代表的なのが、シングルコイルとハムバッカーの2種類です。この記事では、構造の違いから音やノイズの傾向、選び方までを整理します。
結論
歯切れが良く、澄んだ明るい音を求めるならシングルコイルが向いています。ノイズが少なく、太くて力強い音を求めるならハムバッカーが向いています。どちらが優れているということはなく、弾きたい音楽と使う環境で選びます。ギターの形によって搭載されやすい種類が決まっている面もあります。
この記事の要点
- シングルコイルはコイル1つ、ハムバッカーはコイル2つを組み合わせた構造
- ノイズはハムバッカーが出にくく、シングルコイルは出やすい傾向
- 音は、シングルコイルが明るく細め、ハムバッカーが太く出力が高めという傾向が一般的
- ギターの形ごとに搭載されやすい種類があり、切り替えの機能がある製品もある
違いを表で比べる
基準ごとに並べます。傾向は一般論で、構造や巻き数によって製品ごとに異なります。
| 基準 | シングルコイル | ハムバッカー |
|---|---|---|
| 構造 | コイルが1つ | コイルが2つ(巻き方向と磁極を逆にしてつなぐ) |
| ノイズ | 外来のノイズを拾いやすい | ノイズが打ち消されやすい |
| 音の傾向 | 明るく、輪郭がはっきり | 太く、まとまりのある音 |
| 出力の傾向 | 低めのものが多い | 高めのものが多い |
| 向いている音楽 | クリーン、カッティング、ブルース | ロック、ハードロック、ジャズ |
構造とノイズの違い
ピックアップは、磁石に細い銅線を巻いたコイルでできています。弦が揺れると磁界が変化し、コイルに電気信号が生まれる仕組みです。
シングルコイル
- コイルが1つのシンプルな構造
- 幅が細く、弦の振動を細かく拾う傾向
- 電灯や電化製品のノイズ(ハムノイズ)を拾いやすい
ハムバッカー
- 巻き方向と磁極を逆にした2つのコイルをつなぐ
- ノイズは打ち消し合い、弦の信号は足し合わされる
- 幅が広く、構造上、音が太くなりやすい
ハムバッカーの名前は、ハム(うなるようなノイズ)を打ち消す(バッキング)ことに由来しています。ノイズ対策から生まれた構造だと理解しておくと、違いが整理しやすくなります。
ノイズは、ギターを選ぶときに見落とされやすい基準です。シングルコイルは、環境によってジーというノイズが目立つ場合があり、蛍光灯、パソコン、アンプの近くなどで出やすい傾向があります。なお、弦に触れるとノイズが変化する場合があります(配線の状態によります)。対策として、次のような方法があります。
- ギターの向きや場所を変えると、ノイズが小さくなる場合があります
- ノイズ対策を施した仕様の製品もあるため、販売ページの説明を確認します
ノイズの量は製品や環境で変わります。ハムバッカーでも、機材や配線の状態によってはノイズが出る場合があります。
音の傾向と、搭載されやすいギターの形
音の違いは、構造だけでなく、使う木材、弦、アンプの設定にも左右されます。ここでは、一般的に言われる傾向を整理します。
- シングルコイル:明るく、粒立ちのよい音と言われます。ストラト系やテレキャス系の形のギターに搭載されることが多いです。
- ハムバッカー:太く、中域に厚みのある音と言われます。レスポール系の形のギターに搭載されることが多いです。
形と搭載の関係には例外も多く、同じ形でも種類の違う製品があります。商品ごとに仕様を確認してください。ブリッジ(弦を支える部品)に近い位置は硬く鋭い音、ネックに近い位置は柔らかく丸い音になる傾向があり、ピックアップセレクターで切り替えられる製品が多いです。
出力の違いは、アンプやエフェクターでの歪み方にも関わります。一般に、出力が高めのピックアップは同じアンプの設定でも歪みやすく、低めのものはクリーンを保ちやすいと言われます。つまり、使う歪みの深さを先に考えると、ピックアップの種類を絞りやすくなります。
ポイント
ピックアップの種類は、音の傾向を決める要素の一つです。ボディの形や材、スケール長(弦の長さ)によっても聞こえ方は変わります。全体の選び方はエレキギターの選び方|初心者が確認したい7つのポイントで整理しています。
コイルタップとスプリットという機能
ハムバッカーの中には、シングルコイルに近い音を出せる機能を持つ製品があります。名称は「コイルタップ」「コイルスプリット」などです。販売ページでは同じ意味で使われることが多いのですが、厳密には別の仕組みです。スプリットは2つのコイルの片方だけを使う方式、タップは1つのコイルの途中から信号を取り出す方式を指します。
- つまみを引いたり、スイッチを切り替えたりして使う製品が多いです
- 音がシングルコイルに近づく一方、ノイズが増えることがあります
- 搭載の有無や操作方法は製品ごとに異なります
1本のギターで幅広い音を出したい場合は、この機能の有無が選ぶ基準になります。ただし、シングルコイルと全く同じ音になるわけではない点に注意してください。
向く人・向かない人と、よくある誤解
- シングルコイルが向く場合:クリーンの透明感やカッティングの歯切れを重視する、軽めの歪みで弾く、ノイズを許容できる環境で弾く。
- シングルコイルが向かない場合:ノイズの出やすい環境で弾く、深く歪ませた音を中心にする場合。音の輪郭が細く感じられたり、ノイズが目立ったりすることがあります。
- ハムバッカーが向く場合:歪ませた音を太くしたい、ノイズが少ない方がよい、自宅やスタジオで安定した音で弾きたい。
- ハムバッカーが向かない場合:きらびやかで繊細なクリーンの音を求める場合。音が太く感じられ、期待と異なることがあります。
- 切り替えたい場合:1本で幅広く対応したいなら、両方が載った製品や、コイルタップ付きの製品を検討します。
どちらも「合わない」と決めつける必要はなく、アンプの設定や弾き方で印象が変わります。次のような思い込みにも注意してください。
- 「ハムバッカーはノイズが全く出ない」わけではありません。打ち消されやすいだけで、機材や環境によっては出ます。
- 「シングルコイルは音が弱い」わけではありません。高域が出やすい特性が、歯切れの良さにつながると言われます。
- 「ピックアップだけで音が決まる」わけではありません。ボディの材、弦、アンプ、弾き方なども影響します。
ピックアップ交換や改造を検討する場合は、配線やはんだ付けが必要になることがあります。作業に自信がない場合は、楽器店やリペアに相談するのが安全です。また、はんだごてはやけどの原因になるため、取り扱いには注意してください。
選ぶまでの手順と確認リスト
- 弾きたい音楽を決める
好きなジャンルや、よく聴く曲のギターの音を思い浮かべます。 - ギターの形を見る
ストラト系、レスポール系など、形ごとの標準的な搭載を把握します。 - ノイズ環境を考える
自宅で、パソコンや照明の近くで弾くことが多いかを確認します。 - 切り替え機能の有無を確認する
コイルタップやピックアップセレクターの構成を、仕様で確認します。
- 弾きたい音楽の音の傾向(明るいか、太いか)を決めた
- ノイズが気になる環境かどうかを考えた
- ピックアップの構成(本数・種類・切り替え)を仕様で確認した
- コイルタップ機能が必要か判断した
場面別に考えると、自宅の部屋で夜に小さな音で弾くことが多い場合は、ノイズの目立ちにくさが判断材料になります。スタジオやライブでアンプの音量が大きい場合は、ノイズより音の太さや抜けの方が気になることもあります。複数のジャンルを弾く場合は、切り替え機能を重視して、1本で対応できる構成を探す方法もあります。
各部の名称に自信がない場合は、エレキギターの各部名称と役割も参考にしてください。用語を調べたいときはギター用語集|ネック・フレット・ブリッジ・ピックアップが使えます。
よくある疑問
初心者にはシングルコイルとハムバッカーのどちらが向いていますか?
弾きたい音楽によります。歪んだ音を中心に弾くならハムバッカー、クリーンやカッティングを中心にするならシングルコイルが目安です。ノイズが気になる環境なら、ハムバッカーが扱いやすい場合があります。
ハムバッカーはシングルコイルより高性能ですか?
性能の優劣ではなく、音の性格の違いです。ハムバッカーは太く出力が高めの傾向、シングルコイルは明るく繊細な傾向です。
ピックアップだけ後から交換できますか?
交換できる場合が多いですが、ボディの穴の大きさや配線の違いで取り付けられないことがあります。加工が必要な場合もあるため、不安なときは楽器店やリペアに相談してください。
シングルコイルのノイズは必ず出ますか?
環境によって大きく変わります。出にくい場所もあれば、目立つ場所もあります。ノイズ対策を施した製品もあるため、仕様を確認してください。
アコースティックギターのピックアップとは別物ですか?
用途や構造が異なる場合があります。この記事で扱うのはエレキギター向けの電磁式のピックアップです。アコースティック向けは、別の方式の製品もあります。
まとめ
- シングルコイルはコイル1つ、ハムバッカーはコイル2つの構造です
- ノイズはハムバッカーが出にくく、シングルコイルは出やすい傾向です
- 音は、明るく繊細なシングルコイルと、太く力強いハムバッカーという傾向があります
- 弾きたい音楽、ギターの形、ノイズ環境、切り替え機能を基準に選びます
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